Spiritual Nature 霊的存在としての自然
更新日 2010-06-09 | 作成日 2007-10-17
バルトロ氷河には、標高こそ8000メートルには満たなくとも、その美しさで郡を抜く山が多い。ここに挙げた三つもトレッキングの途中に、誰にでも覚えやすい特徴ある姿を見せてくれる。
トレッキングルートが氷河に入って約一日、右手奥にオレンジがかった鋭いピークが現われる。マッシャーブルムである。行く手には二等辺三角形の頂上を平たくカットしたようなガッシャーブルム四峰が、道行く者を阻むように見下ろしている。K2 をピラミッドというならば、これはスフィンクスの役割にあるといえよう。実はこの山もすでに真正面から登られてしまったのだが、それを蟻ん子
程にも感じず、取りつくシマもないような居丈高な態度を、今も変えていない。
K2 に近づくときもガッシャーブルムベースキャンプに上がるときも、この山の足元を通ることになる。道に危険はないのに、いつも「なんとか通らせてもらった」感じがするのは、私だけだろうか。
チョゴリザは「花嫁」という意味だそうだ。全体になだらかで、ドレープの美しいウエディングドレスを思い起こさせる。裾野が広いために、近づけば近づくほど、山頂は支稜の陰となって隠れてしまう。こうしたはにかみ振りはなるほど「花嫁」の名にふさわしい。ゆっくり顔を見たかったら少し離れて、ベールを降ろしてもらうといい。K2 ベースキャンプからなら、全貌が見られる。