日本の自然
奥入瀬渓流とは十和田湖の子ノロから流れる穏やかな沢。天然の森に覆われた約14キロをいいます。深い森の奥にありながら、横にはちゃんと観光道路が造られ、新緑や紅葉の時期には車の動きがとれないほど混み合います。それでも落ち着くのは、森の緑と、流れの音のせいでしょうか。対岸には人をいっさい入れず、人工物もないように規制してあるので、気軽に遊歩道を散策しながら、自然を感じることのできるとても良いところです。 |
お椀を半分に切ったような氷河地形をカールと呼びます。穂高連峰に囲まれた秋の涸沢カールは、岩と、針葉樹の緑と、落葉広葉樹の紅葉とが混じり合い、とてもカラフル。秋の空気は澄んでいるので、色の透明感が出て鮮やかです。日本の伝統色はきっとこんな自然の色を再現しているのでしょう。鮮やかなのにうるさくなくて、とてもなじむ色合いです。紅葉のベストチャンスは初雪の直前の、ホンの数日間。近年異常気象で、撮影は難しくなっています。 |
高山植物は氷河時代の生き残りといわれています。気候が暖かくなって現代の気候に近づくとともに、標高の高い地域へと押しやられていきました。下界では見られない種類が多いため、珍しがられますが、下界の気候では育ちません。小振りなものが多く、寒さや風雨に耐える姿に、「頑張って」と声をかけたくなる方も多いようです。健気なところも人気の秘密でしょう。よく見ると色彩も豊かで形も大胆。堪能するには、地面にはいつくばる体力とマクロレンズが必要です。 |
山野草は、高山植物に該当しないものはほとんど入ってしまいます。園芸用のものでなく、自生していることが山野草と呼ばれる条件といえますが、もともと園芸用だったものが広まったり、外来種が根付いたりして、あまり厳格な分類ではないようです。ともあれ、庭や公園、裏山里山の草花にも、個性があって美しいものがたくさんあるので、図鑑を持って歩くといいでしょう。身近にある雑草が、意外と良い花をつけているのを見つけたときは楽しいものですよ。 |