4.むくみと利尿高山病に典型的な外見上の変化は、むくみでしょう。顔や手足に出る末梢性浮腫のうち、リュックサックの締め付けや日焼けなどを除けば、高度の影響によるものがその多くを占めます。 軽いむくみは、高所に適応してゆく過程で現れることも多いようです。顔がまるく、おじぞうさんのように腫れ上がって、目が線で描いたようになってしまった経験をもつ登山者も案外多いのではないでしょうか。面白がって写真に撮っているうちに直ってしまった人は良いのですが、一晩明けたら重態になっていた事例もあって、油断はできません。 重症になると、高所肺水腫や脳浮腫が起こってきます。血管内の水分が、肺胞や脳に染み出してしまうのです。脳は浸出した水分で膨張し、血管は圧迫されています。順応過程で誰でも感じる頭痛や不眠なども、回復しうる程度の軽い脳浮腫なのだと考えるべきかもしれません。 肺や脳にたまった水分に対する処置として、利尿剤が使われることがありますが、血液量を減少させる結果を伴うために、同時に水分を補給することが必要です。 ドクターがいれば点滴を打ってもらうのがベストでしょう。しかしいったん登り始めたら、上部のキャンプで医療的なケアを受けられることは望めません。飲んで補給するしかないのです。大量の水分を短時間で補給するには、真水やお茶よりも、吸収しやすいように成分が調整されたスポーツドリンクが、最適です。スポーツドリンクは、緊急時の頼みの綱だと言えるでしょう。 |
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