「高所における水分補給」vol.1/4


1.高山病と水分

高所登山の危険といえば、雪崩や滑落とともに、真っ先に思いつくのが高山病でしょう。 その高山病に密接に絡んでいるのが、体内の水分です。

登山家たちの間では、「高所(*)では、水分は毎日4〜5リットル摂取する」というのが、常識となっています。

私たちが普段摂取している水分は約2〜2.5リットル。暑さとは無縁の山で、その倍もの水分を必要とするのです。それだけでも、高所登山がいかに肉体に負担をかける行為かご理解いただけるでしょう。

体から2%以上の水分が失われると明らかに運動能力が落ちると言われています。体重65kgの私の場合だと1.3kg。2〜3時間程度のトレーニングでも、そのくらいの一時的な体重の低下が見られます。

一日でで6〜8時間、長いと12時間以上の行動が連日繰り返される高所登山という極限のスポーツにおいては、運動能力の低下をきたすような水分量の低下は、日常に潜むもっとも普遍的な危険だといえます。

それでは高所において実際にどんな危険があり、どう感じるのか、どう対処する予定なのか、NEXTボタンをクリックして続きをお読みください。

 

人体の60%は水

血液の93%が水

(*)この場合の高所とはだいたい標高5000m以上のことを指していますが、一般には標高2500mから高山病の危険があるとされています。
 

2000.2.17
文責:高取剛充