法政チョモランマ通信

Daily Report 〜チョモランマ日記〜

 第28号 5/21 19:20 @607

 チョモランマ発

アタック期間に入ってインマルサットが故障し、満足な情報がお届けできず BCもイライラしています。

幸い近くにイギリス隊がおり、1分間5ドル払ってインマルサットを借用しています。 20日BCに第1次

アタック隊松本、ロマン、第3次アタック隊の山本隊員が戻ってきました。青木隊員が歓迎横断幕をつくり、

ビール、お寿司、そしてキッチンボーイ、ダワチリの登頂祝いケーキで登頂を祝いました。ABCで頑張って

いる、荻尾、小林隊員にはトランシーバーを通じて、武川隊員持参の法政大学の校歌を(CD)にあわせ高らか

に歌いました。ところで第1次隊の詳しい登頂の模様が松本、ロマンから聴くことが出来ました。

それによると17日未明、法政隊がトップを切りC6を出発。稜線に出てからはほとんどルート工作が終了して

おらず、法政隊が持参したフィックスだけでは足りず、後発の東北隊が協力し、帰りのロープを心配しながら

先を急いだ。第1ステップ、第2ステップを通過後は残置フィックスも氷付けで使用することも出来ず、下

から来る北海道隊の持参ロープを期待したが持参していないことが分かり、いよいよ法政隊と東北隊の残り

少ないロープをやりくりし先を急いだ。それにしても、後続隊は法政隊のルート工作を期待し、ロープも持参

していないのには驚いた。結局この日のアタックは9時間かかったが、翌日の第2次隊、荻尾隊は同じルート

を5時間19分で登りきっていることを考えると、いかにルート工作に時間がかかったかが分かる。法政隊、

東北隊につづいて登頂した他隊の登頂価値は半分以下と考える。

19日法政第3次アタック隊、山本俊雄、シェルパのパサンキダル(21)、ナワンドルジェ(35)は午前

1時30分C6を出発。現地時間9:38分にサミットに成功した。60歳の世界最高年齢登頂者記録に挑戦した

63歳の山本隊員はこの日に合わせ1ヶ月みっちり、高度順応を計り、過去の経験から食事、睡眠、酸素を

サミットに合わせた自分なりの攻略法で見事登頂に成功した。「こんな厳しい山登りは始めて」と語っていた

が帰路はC4まで余裕の帰幕。翌日はBCまで明るいうちに着いた。それにしても法政の連続3次アタックは

素晴らしいものであった。計画が綿密であったし、その計画に対し7人のクライミングシェルパの惜しみない

協力があった。また、サポートに回った隊員全員が目的達成のため一致協力もできた。他隊のシェルパからの

情報によると、ある隊は法政のトランシーバーを傍受。法政の行動に合わせて計画を進めていた隊もあった

と聞く。20日からは天候も一遍し、ニュージーランド隊が遭難。アタック待機中の外国隊はほとんど当面

アタックを中止にしている。天候をも味方にした、法政隊の伝統登山。いま一人の怪我人、病人もなく24日

BCに終結。凱旋する。

隊長:中村

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