Daily Report 〜チョモランマ日記〜
第21号 5/13 10:10 @225
チョモランマBC発
本日も快晴。チョモランマは3日連続晴れ。心配していた天候もやっと安定期に入ったようだ。
この天気で送れていたアタック準備も一気に加速、法政隊も昨日8200MにC6を建設。今日
C6まで酸素ボンベ18本荷揚げすればアタック体制完了となる。好天につられてBCで待機して
いた各国のアタック隊もいっせいに上にあがった。法政の第1次アタックは17日を予定し、
アタックメンバーは16日までに最終キャンプC6につかねばならない。17日まで好天が続く
のかちょっと心配。また17日は満月、シェルパの暦では最良の日であるが、東京からはこの日
は太陽、地球、月が一直線に並ぶとかで要注意日とのこと。 BCから見るチョモランマは雪煙が
まっすぐ上にあがって、風も弱くなりつつあることを示している。アタック期間に入った12日、
ABCから大量のポカリスエットの荷揚げ要請がはいった。アタック前になるたけ多くの水分を
取る必要性からシェルパ、アタック隊員からの要望である。ハイキャンプでは各自500ML
のチタンテルモスを個人装備で携帯しているが、7000Mを越す高さになると、紅茶類よりも
ポカリが飲みやすい。朝湯を沸かしてポカリの粉末を御好みで混ぜる。高所食はカロリー中心で
なかなか喉を通りにくいからポカリは必携だ。 アタック期間に入って法政のシェルパは大活躍だ。
7500M以上のルート工作は法政のシェルパが最前線に立ってフィックスを張っているから、
他の外国隊などはこれから全部法政のフイックスを使うことになる。法政のシェルパはネパール
のロールワリン村のシェルパ族である。5年前のチョオユー遠征のときから法政とは友情と信頼
関係で結ばれている。サーダーは今年53になるアンプルパ シェルパで、一見温厚だが納得
しないと動かない。今回は自分はABCに居座り、7人のクライミング、シェルパを指揮している。
実際のクライミングは息子のパサンキダル(21)がリーダーで他の6人を動かしている。パサン
といえば5年前のチョオユーでは、まだキッチンボーイだったのに、いまは隊の中心ですでに
エヴェレストも2回登っている。シェルパの強さは日本隊員と比べ物にならない。今回も日本隊員
はC4、C5、C6とあがって行くのに、彼らはC5を飛び越して最終キャンプに入ってしまう。日本語
が達者で日本にも2年間生活したことがある、ノルブ、シェルパは32歳。エヴェレストにすでに
5回も登っている。我々とは根本的にからだのつくりが違う。一度ランタンで彼のスピードに一本
だけついて行ったことがあるが、2本目からは完全に息が上がって、そのあとはすっかりコンディ
ションを崩してしまった。もし日本人隊員だけでチョモランマに挑んだら、25歳〜30歳の現役
バリバリを30人ぐらい連れてこなければ8000Mにも届かないだろう。シェルパと隊員の
コミニケ−ションは、かたこと同士の英語、日本語で十分だが。彼らの機嫌を壊すと、ちんぷん
かんぷんのネパール語が飛び交う。 彼らの力を借りて我々は頂上に立つことが可能だ。それは
いかに安全確実にサミットするか、出来るかと言うことで命までかけてチョモランマに登るつもり
はさらさらない。