平成10年10月15日
法政大学体育会山岳部
部長 大 田 九 二
1953年5月29日午前11時30分、世界最高峰エベレスト(中国名チョモランマ)は、イギリス隊のヒラ
リーとテンジンによって初登頂されました。エリザベス女王の戴冠式にその知らせが間に合った話
は有名です。
それから半世紀、21世紀を目前にした今でも、8848メートルの頂は岳人の憧れです。エベレスト
への挑戦は、法政大学山岳部・山想会(OB会)にとっても、一度は果たさなければならない宿命とい
えます。くしくも法政大学は西暦2000年に「建学120周年」を迎えます。その記念すべき年に世界最
高峰の頂に校旗を翻すことが出来るならこれに勝る喜びはありません。
山岳部は1925年(大正14年)5月15日に創部し、2000年には75周年の節目にもあたります。1974
年には「法政大学創立100年祭記念事業」の一環として、ヒマラヤのラムジュンヒマール(6987m)に
遠征、北稜より初登頂を成し遂げました。また1995年の山岳部創立70周年記念事業では、初めて
ヒマラヤの8000メートル峰に挑戦し、中国チベットのチョー・オユー峰(8201m)に、学生隊員を含め
隊員全員登頂という快挙を成しております。
初登頂から半世紀を経過した現在のエベレストは、当時に比べれば技術的困難さは少なくなった
ものの、9000Mにも達する高度の影響や地上の3分の1の酸素量が足かせとなり、挑戦する隊の増
加にもかかわらず、大半は登頂を断念し撤退を余儀なくされています。日本人登頂者も過去45年間
でわずか61人を数えるのみです。
2000年に登頂を目指す我が法政隊は、8000M登頂経験者が3人、8000M到達者が2人含まれるベ
テランOBを中心に編成され、卓越した技術と体力のある若手メンバーを選出して、万全を期します。
現在もエベレストは学生だけでは登れる山ではありません。過去に単独大学で登頂を果たした隊も、
OBが中心で、愛知学院大学隊・日本大学隊・立正大学隊の3校を数えるのみです。いまだにその牙
城はゆるぎなく、世界一の困難さを秘める山だと言ってよいでしょう。
遠征には60歳以上のOBが、最高年齢の世界新記録また日本記録に挑戦します。20歳以下の最小
年齢登頂者日本記録も対象になり、NHK・テレビ朝日・朝日新聞などのマスコミも、今から注目してお
ります。
建学120周年記念事業の目玉として、「開かれた法政21」を全世界にアピールする事を、大きな目的
の一つとしております。何とぞ皆様の熱いご支援ご協力をお願いします。